我が家の息子はエレクトーンを習っています。
エレクトーンとは、ヤマハが商標を持つ、電子オルガンの一種です。
このエレクトーンには様々なコンクールがあるのですが、出場する際に注意する点がいくつかあります。
我が家の体験をもとに注意点を書いていきたいと思います。
様々なエレクトーンコンクール
エレクトーンのコンクールは大きく分けてソロ部門、アンサンブル部門に分けることができます。
まず、エレクトーンフェスティバル、と呼ばれる大会に出るのが最初になります。
ヤマハでは特約店と呼ばれる楽器店が音楽教室を運営しているので、特約店が開催する店別大会に出場します。
このエレクトーンフェスティバルは、大人から子供まで、日頃の学習の成果を発表する場になっていて、この大会で優秀な成績をおさめると、地区ごとに開催される地区ファイナルというイベントに出ることができます。
さらに地区ファイナルで金賞を受賞すると、ヤマハエレクトーンコンクールファイナル選考会への出場権を得ることができます。
このファイナル選考会は全国で7エリアに分かれており、この大会の金賞受賞者がヤマハエレクトーンコンクールファイナルに出場する、という流れです。
エレクトーンの曲を弾く形態
大会やコンクールでエレクトーンの楽曲を弾くとき、大きく分けてその形態は3つになります。
エレクトーン用の曲集
一つ目は、既存の曲集(ヤマハミュージックメディアから多数発刊されています)から曲を選んで弾くこと。
この場合、大会やコンクールでは特にこれといった手続きは必要ありません。
手続き、という言葉を使いますが、これは何かというと、音楽著作権にかかわることを指します。
既存の曲集を使う場合、ヤマハがこの著作権にかかわる手続きをすべて済ませた状態のものを使うことになります。
なので、特に手続きが必要なくても大丈夫ということです。
オリジナルの曲を作曲、編曲
二つ目は、自分でオリジナルの曲を作曲、編曲して弾く場合です。
この場合は、音楽著作権そのものが存在しないので、これも手続きは不要です。
自分で耳コピーして弾く場合
さて、最後の1つ。
とあるアーティストが演奏している楽曲で、エレクトーンの楽譜としては存在していないものを自分で耳コピーして弾く場合です。
この時、著作権に関して手続きが必要になってきます。
このあと、詳しく説明していきますね。
JASRACに使用料が発生する
最近、音楽教室での楽曲使用において、JASRACがその都度使用料を徴収する、といったニュースを耳にした方もいるのではないでしょうか?
そもそも、誰かが作曲した音楽というのは、公の場で使用する場合に「使用料」が発生しています。
私たちが自分で楽しむ目的で、趣味の範囲で、などではこの使用料は発生しませんが、例えばインターネット上でホームページから音楽を流したい、CMなどで使いたい、などの場合には必ず使用料が発生しています。
つまり、発表会やコンクールなどの大会などで楽曲を使用する場合にも、実は使用料が発生しているのです。
発表会などの場合は、その主催者や先生などが必ず使用料の申請をされている、と聞きました。
エレクトーンのコンクールでも、同じように使用料を大会の主催者が納めているそうです。
楽曲の使用許可と編曲使用許可
エレクトーンという楽器は、一台で様々な楽器の音を出すことができて、オーケストラやポップス、ジャズなどの曲を一人で(もしくは複数のアンサンブルで)弾くことができます。
つまり、オーケストラ編成だったり、バンド編成で演奏される楽曲を、エレクトーン用にアレンジして弾く、ということです。
この場合、著作権としては使用料が発生する「演奏権」と「編曲権」の2つが発生することになります。
演奏権については、エレクトーンのイベント主催者が、演奏する人に代わって申請を行い、使用料の支払いまでしているので問題ありませんが、自分で申請する必要があるのが「編曲権」についてです。
編曲許諾申請の手続き、というのを行うことになります。
編曲許諾の申請が不要な例
楽曲の中には、編曲許諾の申請が不要な場合があります。
以下に紹介する以外の楽曲はすべて編曲申請が必要になります。
著作権消滅楽曲を弾く場合
著作権消滅楽曲(パブリックドメイン=PD)とは、著作者の死後50年が経過し、著作権そのものが消滅しているものを指します。
例えば、ベートーベンやバッハ、モーツァルトなどは亡くなってから長い年月が経っているのでその楽曲には著作権が存在しません。
ただし、そういった曲を使って編曲アレンジをしている楽曲を弾く場合には、その編曲者には著作権が存在するので申請が必要になるので注意が必要です。
エレクトーン用楽曲として出版されている曲
ヤマハからエレクトーン用の楽曲として出版されている曲を弾く場合は、申請の必要はありません。
これはヤマハで様々な手続きを終わった楽曲になるからです。
楽譜通りに弾く場合には編曲申請は必要ありません。
編曲申請はどこにするのか?
編曲申請は、著作者から管理を委託されている音楽出版者、オリジナルパブリッシャー(OP)に行うことがほとんどのケースになります。
外国の曲の場合は、多くは外国のOPが管理していることがほとんどですが、日本国内でそのOPの下請け出版者、サブパブリッシャー(SP)がある場合にはそちらに申請することになります。
まずはJASRACでOPやSPを調べましょう。
JASRACには作品データベース検索のサイトがあるので、そこで調べます。
OPやSPが見つかった場合には、その出版者に連絡を取りましょう。
その時に重要なのが、「エレクトーン演奏用に編曲をして演奏したい」と言うこと。
これで許可が出れば、晴れてコンクールなどで演奏することができます。
ここで断られた場合には、残念ですがその楽曲は使えない、ということになります。
編曲の許可が難しい楽曲が存在する
実は私にも経験があるのですが、編曲の許可が下りにくいケースというのは存在します。
例えば、テレビCMやゲームなどで使用されているオリジナル曲。
この楽曲はその企業が著作権を管理しているケースがほとんどで、許可が下りにくいです。
また、外国曲で、日本国内に権利者(著作権の管理を委託されている音楽出版者など)が存在しないケース。
これは直接海外の権利者に連絡を取る必要があり、時間がかかったりすることが多いそうです。
また、交渉はすべてそちらの言語でやる必要があるので、英語や外国語の知識も必要になります。
音楽出版者などの著作権者が存在しない場合も、作者やその遺族などに直接連絡を取る必要がありますので、手続きが難しくなるケースがあるようです。
編曲許諾の確認後の手続き
音楽出版者や、著作権者と連絡を取り、許可が下りた場合、大きく2つのパターンがあります。
その場で許諾された場合
一つは、電話やメールなどでその場で許諾された場合です。
この場合はこのまま編曲をして弾くことができます。
申請が必要と言われた場合
もう一つが、申請が必要、と言われた場合です。
私も経験がありますが、例えば、
- どこで
- 誰が
- どういった目的で
- どんな会場で
- 入場料がいくらで
- 何回弾くか
などを申請することが多いです。
楽曲の中には、編曲した曲を使って弾くたびに、使用料を都度支払う必要がある場合もあるそうです。
例えば予選で弾いたら1回分、本選で弾いたらもう1回分など
必ず、許可が出たら、その後の手続きなどについて確認をしましょう!
ピアノなどとは違い、ちょっと複雑な手続きが必要なエレクトーンでの楽曲演奏ですが、きちんと確認ができないとコンクールなどでは失格になることがあります。
また、せっかく耳コピーをして弾く準備までできているのに、いざ編曲許可が下りなければ無駄足になってしまいます。
楽曲を決めたら、早めの申請が一番ですね。